ドタキャンについての話

 僕は「ドタキャン」という行為が苦手である。するのもされるのも嫌いである。

 だから極力自分の予定をしっかりと定めてから友人と約束するようにして、キャンセルを避けるようにしているのだが、たまに「ドタキャンをしない」ということが苦手(この表現が正しいかは分かりかねるが)な人もいる。予定がぎっしり詰まっている中で仕方なく……という場合もあれば、雨が降ってるからやめるみたいな人もいる。

 こればかりは仕方がない。人には様々な考え方があるだろうし、「約束事より自己を優先する」という考え方もあっておかしくない。それについてどうこう言うつもりは全くない。

 問題は、「自分はドタキャンするのに他人にドタキャンされると愚痴を言う」タイプの人間である。これは考え方云々の問題と言うより、ただ単に「性格が悪い」のではないだろうか。実のところ、こんな文章を書いているのは先日このタイプの人間に愚痴を言われたからである。

 

 仮に当該人物をA君としよう。

 A君は僕の家に来て遊ぶ約束を2週間前に決めていた。それを受けて僕は、当日自分からみれば豪華な夕食(刺身やサラダその他諸々)を準備しながら待っていた。しかし、到着予定時刻1時間前にA君から「ごめんやっぱ今日行けないわ」というLINEが届いたのである。もう既に夕食は完成しており、あとはご飯が炊けるのを待つだけといった状況の中でこれが送られて来たため、「怒る」という感情より先に「困惑」が来た。理由を聞いたところ「忙しくて無理」とのこと。それくらい最初から把握しておけとも言えないので泣き寝入りした。

 後日、改めて予定を立てA君が遊びに来たが、どうやら大層ご立腹のようである。訳を聞けば、「予定を2日前にドタキャンされた」のだそう。それについてA君との予定をドタキャンした人物について長々と愚痴をこぼし、お酒を飲んではまたその話。流石に耐えかねて「でもAもこの間ドタキャンしたじゃん」と言ったところ、彼は「でもあれは忙しかったししょうがなくない?」と不満げな顔で返して来た。

 

 ここで『なんとかジャパン』みたいな番組であればA君になんらかの罰が降り注ぐのだが、残念ながらこの世の中はそんなフィクションの世界ではないので、ただ単に僕がなんとも言えない気持ちになって終わった。

 ここで愚痴を垂れ流す自分も自分だが、もし彼が社会に出てからこんなことをやっていると取り返しのつかないことが起きると思う。どこかで自分の行動を省みてほしい。