アゼルバイジャンの話

 最近よくニュースで耳にするアゼルバイジャンという国。

 ニュースにはなるけれども、そもそもどんな国なのかは知らないという方も多いだろう。

 

 この国はカスピ海付近のコーカサス地方にある国で、地球儀で見た時の位置としてはトルコの右側、イランの真上となる。人口は約987万人(神奈川県より多い)、面積は約8万6千平方キロメートル(北海道とほぼ同面積)という国である。元々はソビエト社会主義共和国連邦の一員であり、1991年に独立。大統領は直接選挙により選出されるが、現時点ではアリエフ家による世襲体制が続いているというなかなか珍しい国である。

 同国の経済は豊富な埋蔵量を誇るバクー油田無くしては語れない。もしかしたらご存知かもしれないが、かのヒトラーもこの油田に狙いを定め(というよりかは大元のソ連のエネルギー供給源を断つために)「ブラウ作戦」を発動したということでも知られている。そんな油田があるために国自体は儲かっている(国民はどうやらその恩恵は受けられてないらしい)。

 

 日本との関わり合いで言えば、2025年に開催される大阪万博、その選出過程での対立候補アゼルバイジャンの首都、バクーであった。また、2005年に開催された愛・地球博においてはジョージア(当時はグルジア)やアルメニアとともに「コーカサス共同館」として出展し、同国の主産品でもあるバラのソフトクリームを販売していた。もしかしたら食べたことがある方もいらっしゃるかもしれない。

www.expo2005.or.jp

 

 ではなぜアゼルバイジャンアルメニアが今争っているのか。

 これは報道されている通り、「ナゴルノ=カラバフ自治州」の帰属争いである。

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ナゴルノ=カラバフの位置

 もともとこの土地はアゼルバイジャンの一部であると各国が認識してはいるものの、民族構成がアルメニア人が大多数を占めていることから、アルメニア側は以前から自国の領土であると主張しており、その対立はロシア帝国の瓦解時にまで遡る。要するに、今いきなり始まったことではなく、前々から燻っていた火種が爆発したという捉え方の方が正しい。

 この対立が厄介なのがトルコの存在である。アゼルバイジャンの民族構成の大多数を占めるアゼリー人はトルコ系の民族であり、公用語であるアゼリー語(アゼルバイジャン語)もまたトルコ語にかなり近いため、双方がお互いのことを「兄弟国」として認識している。

 今回もトルコはアゼルバイジャンへの支持を表明し、より混乱を増大させてしまっている。

 

 この戦いは軍備の面からも資金の面からも優位なアゼルバイジャンに軍配が上がると僕は考えているが、今後のロシアの動向次第ではわからない。今後も注視していきたいと思う。